電磁波の性質


このページのポイント

電波は電磁波の一種で、情報を通信するときに使われる道具のようなものです。
このページでは、電磁波とはどういうものなのかということを要素ごとに説明していきます。

そもそも電磁波とは

まずは、そもそも電磁波とは何なのかという話をしていきます。電磁波とは、ある場所で電気的あるいは磁気的な変化が生じた場合にそれが波となって空気中を伝わるものです。たとえば、AMラジオに電気を流すとアンテナから電磁波が放射されます。また、電気的な変化と磁気的な変化はついになって伝わります。下の図が電磁波が伝わる様子です。
また、電波、光、X線は全て電磁波の一種で、上にあげた例のアンテナから放射されるのは電波です。これらの違いは波長もしくは振動数によって変わります。これらの用語は後に説明します。下の図が、電磁波の波長の大小によって電磁波を配列したものです。これをスペクトルと言います。
可視光と電波や赤外線、紫外線はそれぞれ異なった性質を持っていますが、これはこのように波長(振動数)が異なるためです。また、同じ電波の中でも波長(振動数)の違いによってその性質が変わってくるためそれぞれの使い分けがなされています。詳しいことは、電波とはで学びます。では、次に波長や振動数など電磁波の要素について説明していきます。

電磁波のパラメーター

次に、電磁波を3つの要素(パラメーター)に分類します。
電磁波のパラメータ

①振幅
②周波数
③位相

ひとつずつ説明していきます。下の波の図を見ながら理解しましょう。
①振幅
これは波の大きさを表し、電波の場合、電圧や電力になります。下の図で振動の中心の部分から端の部分までの長さです。端から端ではないので気を付けましょう。
②周波数
これは山と谷でできた波の1サイクル(山から山、もしくは谷から谷)が1秒間に何回あるかを示す値で、単位はHz(ヘルツ)です。桁が多くならないように、Si単位(国際的に定めた単位、「kキロ」、「Mメガ」、「Gギガ」、「Tテラ」)の接頭辞をつけるのが一般的です。また、反対に1サイクル波が振動するのにかかる時間を周期といい、周期をT、周波数をfとするとT=1/fとなります。
③位相
これは波の位置の違いを表す尺度で、1サイクルを360度として角度で表します。また、ある1つの波を基準として、別の波を位相の差で区別します。後に説明しますが、位相の違う2つ以上の波が重なると干渉を起こし、合成された波が強くなったり弱くなったりします。
ちなみに、周波数は振動数とも同じ意味合いです。また、先ほど波長という言葉が出てきましたが、波長とは上の図にあるように波の1サイクルの長さ(山から山もしくは谷から谷の長さ)のことを言い、λ(ラムダ)と表します
振動数fは一秒間に波が振動する回数を表し、波長λはその一つ一つの振動の長さを示すので、f×λは1秒間に進む距離、つまり波の速さvに等しいといえます。これを式に表すと
v=fλ となります。
また、電磁波が空気中を伝わる速さは秒速約30万kmで、これを光の速さといいます。よってvが一定のため、波長と振動数は反比例の関係にあります。
電磁波の性質が波長と振動数のどちらでも変化するのはこのためです。

電磁波の重要な6つの性質

電磁波の重要な性質として、次の3つがあります。これは、波の性質ということも出来ます。波長の長さ、もしくは周波数の大きさによってこれらの性質のどれが強くなりどれが弱くなるかが決まってきます。
①直進
物体の大きさが電波の波長程度かそれ以下の時、電波がその物体を超えて直進することが出来、届きます。これを直進といいます。この直進性が高い電波を利用したラジオは山や建物の陰のように、送信所のアンテナが見通せないところでも受信できます。
②反射
光が鏡で反射するように、電波も電気をよく通す金属や大地などに当たると、反射します。パラボラアンテナはこの反射の性質を利用するためにあのような形をしているのです。反射して届く電波を反射波といい、逆に直接届くものを直接波といいます。光は表面が滑らかでないと反射しませんが、光より波長がはるかに長い電波の場合は、波長より小さい凹凸が反射面にあっても反射します。
③屈折
光が空気中から水中に進むときに屈折しますが、電波は大気中を伝わるときに、大気の密度や圧力、温度、湿度などが変わると屈折し、進む方向が曲げられます。
④散乱
電波が周波数の高い電波は小さな微粒子に当たると散乱します。先ほど説明したように微粒子が波長より小さければ電波は直進しますが、波長と同じくらいの大きさになると散乱します。のちに説明する回折の利用ができない場合に、電波の散乱を利用して行う通信もあります。
⑤回折
ある種(VHF帯、UHF帯)の電波は、小高い山やビルの端を通過するときに、その裏側に回り込んで進む性質があります。これを回折といい、回折した電波を回折波といいます。これを利用すると、山の向こう側など見通しがきかないところとの通信(見通し外通信)ができます。テレビ放送の電波を、本来の直接波では届かないような遠方の山陰など思わぬ地点で受信できることがあるのはこのためです。また、トンネルの中や狭い通路などでもこれにより携帯電話が使えたりラジオが聞こえたりします。
⑥干渉
違う経路を通って同じ周波数の電波が2つ以上届くと、それらの電波が重なり合って干渉という現象が起こります。直接波と反射波のように経路が違う2つの電波は伝わる距離が違うため到着時間に差が出て、2つの電波に位相差が生じます。両者の位相が同じか近ければ合成した電波は強くなり、位相が180度前後ずれていると逆に弱くなります。このため、複数の経路を通って電波が集まると電波が強くなったり弱くなったりする現象が起こります。
これらの電磁波の性質は様々な技術に応用されていますが、その一部は次ページ以降で紹介しています。